「あぁ、美味しいお刺身が食べたい…!」「ヨーロッパの魚って、生で食べても大丈夫なの?」
ヨーロッパ、特にフランスに住んでいると、新鮮で美味しい魚介類には出会えるものの、日本のように気軽に「刺身」や「寿司」を楽しめないことに、もどかしさを感じている方も多いのではないでしょうか?
私もフランス駐在中、魚屋さんに並ぶ魚を見ては「これは生でいけるか…?」と悩み、結局諦める日々を送っていました。そう、ヨーロッパでは魚の鮮度管理や処理方法が、日本の「生食」を前提としたものとは異なるため、安易に生で食べるのはリスクが伴うのです。
でも、諦めるのはまだ早い!長年の駐在生活の中で見つけた、ヨーロッパでも比較的安全に、あるいは工夫して生魚を楽しむための方法があるんです。
この記事では、フランス駐在経験のある3児の父である私が、
- なぜヨーロッパで刺身用の魚を見つけるのが難しいのか?
- 安心して美味しい刺身を食べるための具体的な方法(通販、市販品)
- 現地で手に入りやすい、比較的生食しやすい魚介類
- 注意が必要な魚と、自己責任で行う場合のポイント
について、リアルな体験談を交えながら詳しくご紹介します。ヨーロッパで「お刺身ロス」に悩むあなたの食生活が、少しでも豊かになるヒントになれば幸いです。
なぜ難しい?ヨーロッパで「刺身用の魚」が手に入りにくい理由
そもそも、なぜヨーロッパのスーパーや魚屋さんで、日本のように気軽に刺身用の魚が買えないのでしょうか?
- 生食文化の違い: ヨーロッパにも生食文化(牡蠣、タルタルなど)はありますが、日本ほど魚を生で食べる習慣が一般的ではありません。
- 鮮度管理の違い: 流通や店頭での温度管理が、必ずしも生食を前提としていない場合があります。見た目は新鮮でも、内部で菌が増殖している可能性も。
- 処理方法の違い: 魚を締める技術や、寄生虫(アニサキスなど)のリスクを低減するための処理が、日本の基準とは異なることが多いです。
- 寄生虫のリスク: 特にアニサキスは、サバ、イワシ、アジ、サンマ、カツオ、サケ、イカなどに寄生している可能性があり、生で食べると激しい腹痛を引き起こします。
港町だからといって、油断は禁物です。「これは新鮮そう!」と思っても、生食できる保証はない、ということをまず念頭に置きましょう。
【安全・確実】日本レベルの刺身を味わうならコレ!
「やっぱりリスクは避けたい!」「安心して美味しい刺身が食べたい!」という方には、以下の方法が最もおすすめです。
方法1:最強の味方!専門通販「北海水産」を利用する
ヨーロッパ在住の日本人なら、ご存知の方も多いかもしれません。オランダに拠点を置く「北海水産(HOKKAI SUISAN)」は、日本品質の魚介類をヨーロッパ各国に配送してくれる通販サービスです。
メリット:
- 刺身用の魚が豊富: マグロ、ブリ、ハマチ、サーモン、ホタテ、甘エビ、しめ鯖など、日本ではお馴染みの刺身ネタが手に入る!
- 日本品質の安心感: 日本人が経営しており、品質管理や処理がしっかりしている印象。
- 加工品も充実: 干物、塩辛、明太子、もずくなど、日本の食卓が恋しくなる品揃え。
デメリット・注意点:
- 最低注文金額が高め: 75ユーロ(※変動可能性あり)からと、一度の注文額がある程度必要。
- 送料がかかる: 配送地域によって送料が異なります。
- 冷凍で届く: 基本的に冷凍便で届くため、解凍の手間が必要です。
利用のコツ: 最低注文金額をクリアするために、友人やご近所の日本人家族と共同で購入するのがおすすめです。我が家もよく利用し、ブリやしめ鯖は絶品でした!品質は確かなので、特別な日や「どうしても美味しい刺身が食べたい!」という時には、非常に頼りになる存在です。
北海水産 公式サイトはこちら
方法2:「刺身用」表示のある特定ブランド品を探す (例: SALMAサーモン)
数は少ないですが、現地のスーパーでも「生食用」「刺身用」として販売されている商品があります。代表的なのが、ノルウェー産の「SALMAサーモン」です。
- 真空パックされており、衛生管理が徹底されているのが特徴。
- 骨や皮が除去されており、すぐに切って食べられます。
- 大手スーパー(Carrefourなど)で見かけることがありますが、常時置いているとは限らず、価格もやや高めです。
- 賞味期限も比較的短い(1週間以内程度)ので注意。
見つけたらラッキー!という感覚ですが、手軽に美味しいサーモン刺身を楽しみたい時には良い選択肢です。
【比較的安心】現地スーパーや市場で見かける生食可能な魚介類
現地で比較的手に入りやすく、文化的に生食されることが多い、あるいはリスクが比較的低いとされる魚介類もあります。
ホタテ (Coquille Saint-Jacques)
フランス(特に北部)ではポピュラーな食材で、レストランでもよく生で提供されます。殻付きで売られているものも。貝柱の部分は、比較的安心して生で食べやすいと言えます。味も濃厚で美味しく、外れが少ない印象です。
牡蠣 (Huître) ※生食文化だが寿司ネタではない
フランスといえば生牡蠣!マルシェやレストランで気軽に楽しめます。ただし、日本のように寿司ネタとして食べることは稀です。また、食中毒のリスクはゼロではないため、信頼できるお店で購入し、鮮度に注意しましょう。
イクラ (Œufs de saumon) ※瓶詰など
輸入物の瓶詰やパック詰めのイクラは、スーパーなどで見かけます。加工されているため、比較的安心して食べられます。日本と同じ味を楽しめますが、価格は高めなことが多いです。
【要注意!】生食には「冷凍処理」推奨の魚介類
以下の魚介類は、現地でも比較的手に入りやすいですが、生で食べる場合は寄生虫(特にアニサキス)のリスクがあるため、必ず冷凍処理を行うことを強く推奨します。
マグロ (Thon)
「マグロは寄生虫の心配がない」と思われがちですが、それは日本での適切な処理があってこそ。海外で売られているマグロに寄生虫がいない保証はありません。安全のためには、一度しっかり冷凍してから解凍して食べるのがおすすめです。
イカ (Calmar) / タコ (Poulpe)
市場などでよく見かけます。刺身にすると美味しいですが、イカにもアニサキスなどの寄生虫がいる可能性があります。こちらも冷凍処理が安心です。
サーモン(加熱用)
前述のSALMAのような「刺身用」表示がない、一般的な加熱用のサーモン。これを生で食べたい場合は、必ず冷凍処理が必要です。養殖サーモンは天然物に比べて寄生虫リスクは低いと言われますが、ゼロではありません。
※家庭での冷凍処理のポイント(参考)
アニサキスは「-20℃で24時間以上冷凍」することで死滅すると言われています。(参照:厚生労働省 アニサキスによる食中毒を予防しましょう)
- 家庭用冷凍庫の性能を確認しましょう(-18℃以下の設定が可能か)。
- 急速冷凍機能があれば活用しましょう。
- 中心部までしっかり凍結させるため、時間は余裕を持って設定しましょう。
- 解凍は冷蔵庫でゆっくり行うのがおすすめです。
ただし、これはあくまで一般的な情報であり、安全を保証するものではありません。専門家ではないため、最終的な判断は自己責任でお願いします。
【自己責任!】リスクを理解した上で挑戦する選択肢
以下の方法は、食中毒などのリスクが伴うため、安易に推奨はできません。実践する場合は、リスクを十分に理解し、完全な自己責任で行ってください。
加熱用の鮮魚を冷凍処理して食べる ※リスク高
サバ、アジ、イワシ、タイなど、現地で手に入る加熱用の魚を、上記の冷凍処理を行ってから刺身で食べる、という話を聞くことがあります。しかし、これらの魚はアニサキスリスクが高いものも含まれますし、鮮度が落ちるのが早い魚もあります。
私は胃腸が弱く食中毒経験もあるため、この方法は試していません。(妻は挑戦して美味しく食べていましたが…羨ましい限りです)もし挑戦する場合は、魚の種類、鮮度、自身の体調などを十分に考慮してください。
自分で釣った魚を食べる ※要知識・注意
海で釣ったばかりの魚なら新鮮!と思いがちですが、これも注意が必要です。
- 漁業権の問題: 国や地域によっては、釣りをするのに許可(ライセンス)が必要な場合があります。
- 寄生虫リスク: 釣った魚にも当然寄生虫はいます。適切な処理(内臓の速やかな除去、目視確認、冷凍処理など)の知識と技術が必要です。
- 魚種の見極め: 毒を持つ魚や、生食に向かない魚もいます。
現地の釣りに詳しい人に聞くなど、十分な情報収集と準備なしに行うのは危険です。
まとめ:安全第一で賢く楽しむ!ヨーロッパでの刺身ライフ
ヨーロッパで美味しい刺身を食べるのは不可能ではありませんが、安全への配慮が不可欠です。
- 【最も安全・確実】専門通販「北海水産」や「SALMAサーモン」など、生食を前提とした商品を利用する。
- 【比較的安心】ホタテ、牡蠣(鮮度注意)、瓶詰イクラなどを選ぶ。
- 【要冷凍処理】マグロ、イカ、タコ、加熱用サーモンは、必ず適切な冷凍処理を行ってから。
- 【自己責任】加熱用の他の魚の冷凍処理や釣りは、リスクを十分に理解した上で。
何よりも安全が第一です。少しでも不安を感じる場合は、無理に生で食べるのは避け、加熱調理で美味しくいただきましょう。
情報を賢く活用し、安全に配慮しながら、ヨーロッパでの食生活を楽しんでくださいね!
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