「フランスで子育てって、どんな感じなんだろう?」「日本の学校と比べて、良いところ、大変なところは?」
海外赴任や移住を考えたとき、子供の教育環境は最も気になることの一つですよね。特にフランスは、日本とは文化も教育システムも大きく異なります。
こんにちは!3人の子供(当時、幼稚部・小学部)をフランスの現地私立学校(キリスト教系)に約3年間通わせた経験のある、ふーさんです。(日本では幼稚園まで経験)
実際にフランスで子育てを経験し、親の目線から見て「これは日本と全然違う!」「これは助かる!」「これは正直大変…」と感じたことがたくさんありました。
この記事では、私のリアルな体験に基づき、フランスの幼稚園・小学校における「良かったこと(メリット)」と「困ったこと(デメリット・注意点)」を、日本の(私の知る範囲での)状況と比較しながら具体的にご紹介します。これからフランスで子育てをする方、海外の教育に関心のある方の参考になれば嬉しいです。(※日本の学校事情については、一部私の過去の経験や一般的なイメージに基づいている点をご了承ください。)
親目線で実感!フランスの学校教育「ここが良かった!」5つのポイント
まずは、実際に子供を通わせてみて「これは良いな!」と感じた点をご紹介します。
ポイント1:親の出番がほぼゼロ!学校行事の負担が少ない
これは日本の幼稚園・小学校との大きな違いかもしれません。日本では、運動会、学芸会、バザー、地域のお祭りへの参加など、親が準備や運営を手伝う必要のある学校行事が結構ありますよね。それが子供との良い思い出になる半面、共働き家庭などにとっては大きな負担になることも。
私が経験したフランスの学校では、親がボランティアなどで協力する行事は基本的にありませんでした。懇談会や面談などはありますが、純粋に子供たちの発表を見る、先生と話す、というものが中心。これは、フランス社会が共働き前提で成り立っていることの表れだと感じました。親の負担が少ないのは、正直かなり助かりました。
ポイント2:遊び時間たっぷり!2時間近い長い昼休み
フランスの学校の昼休みは、給食時間を含めて約2時間と非常に長いです。子供たちはこの時間を本当に楽しみにしていて、「今日は〇〇ちゃんと鬼ごっこした!」「校庭でサッカーした!」と毎日嬉しそうに報告してくれました。
この長い休み時間のおかげで、子供たちはクラスメートとしっかり遊び込むことができ、友達作りや学校への適応がスムーズに進んだように感じます。特に、言葉がおぼつかない時期でも、遊びを通してコミュニケーションを図れたのは大きかったと思います。
ポイント3:個性を尊重?髪型・服装・持ち物が自由
私が経験した私立校では、制服はなく、髪型や服装に関する細かい校則はほとんどありませんでした。持ち物についても、学習に必要な文房具リストは渡されますが、キャラクターもの禁止などの指定はなく、子供たちが好きなものを選べました。(もちろん、ゲームやおもちゃの持ち込みは禁止されていましたが、ベイブレードやビー玉で遊んでいる子はいましたね。)
画一的なルールで縛るのではなく、ある程度子供たちの自由や個性を尊重する雰囲気を感じました。
ポイント4:「小1の壁」なし?充実した預かり保育(ギャルドリー)
日本では、小学校入学と同時に学童保育に入れなかったり、預かり時間が短くなったりする「小1の壁」が問題になることがあります。フランスでは、幼稚園も小学校も、基本的に同じ時間に授業が終わり(私の地域では17時前)、さらにその前後に「ギャルドリー(Garderie)」と呼ばれる延長保育システムが整備されています。
朝は7時半過ぎから、夕方は18時過ぎまで預かってもらえ、年間契約も可能。兄弟がいてもお迎え時間が同じなので、働く親にとっては非常に心強いシステムです。これも共働き社会ならではの仕組みだと感じました。
ポイント5:いじめには断固たる姿勢!加害側が転校も?
これは非常に心強く感じた点です。フランスでは、いじめ問題に対して、学校側が「いじめた側」に厳しく指導し、改善が見られない場合は「いじめた側が転校する」という対応を取ることが一般的だと聞きました。(※全ての学校、ケースでそうなるとは限りません)
我が家の子がまだフランス語に不慣れだった頃も、先生から「何か嫌なことをされたり言われたりしたら、遠慮なく言ってください。相手にはきちんと指導しますから」と声をかけていただき、安心したのを覚えています。被害者側が我慢したり、転校したりする必要がない、という考え方は、ぜひ日本でも参考にしてほしいと感じました。
覚悟が必要?フランスの学校教育「ここが大変!」5つのポイント
一方で、「これは大変だな」「困ったな」と感じた点もあります。
ポイント1:まさかの週休3日!?「水曜休み」の壁
多くのフランスの幼稚園・小学校では、水曜日が午前のみ、あるいは完全にお休みになります。つまり、実質週休3日なのです!
共働き家庭が多いため、水曜日に子供を預かってくれる「ルワジールセンター(Centre de Loisirs)」などの学童保育的な施設は充実しています。しかし、当然ながら費用がかかります。所得に応じて費用が変わる公的な施設もありますが、駐在員家庭は所得が高いとみなされ、費用が高額になることが多いようです。(我が家は妻が専業主婦だったので利用しませんでしたが、子供は行きたがっていました)
ポイント2:休みが多すぎ?「6週行って2週休み」のバカンス周期
フランスの学校は9月始まりですが、驚くべきはその休暇(バカンス)の多さ!
- 10月下旬:秋休み(諸聖人の日休み)約2週間
- 12月下旬:クリスマス休み 約2週間
- 2月下旬:冬休み(スキー休み)約2週間
- 4月下旬:春休み(イースター休み)約2週間
- 7月上旬~8月下旬:夏休み 約2ヶ月
基本的に「6~7週間学校に行ったら、約2週間のバカンス」というサイクルです。子供にとっては天国かもしれませんが、親にとっては「また休みか…」と、特に働く親にとっては頭の痛い問題。この期間中も、様々なアクティビティ付きの預かりプログラム(有料)が充実していますが、費用はかさみます。「Centre de loisirs + (街の名前)」で検索すると、公的な施設のプログラムが見つかるかもしれません。
ポイント3:「言った言わない」問題?先生・子供とのコミュニケーション
これは日本でもあることですが、言葉の壁があるとさらに複雑になります。
- 子供の言うこと: 子供が「先生がこう言ってた!」と自信満々に言っても、実際は違っていたり、勘違いしていたりすることがあります。
- 先生との連携: 連絡帳のようなシステムがあまりなく、重要な連絡が口頭だったり、子供経由だったりすることも。我が家でも、延長保育を頼んでいないのに、子供が先生に「今日は延長保育だ」と言ってしまい、お迎え時に確認されたことがありました。
重要な連絡事項については、子供の話を鵜呑みにせず、念のため先生に直接確認するなど、丁寧なコミュニケーションを心がける必要がありました。
ポイント4:権利?文化?突然の「先生のストライキ」
日本ではほとんど馴染みがありませんが、フランスでは先生もストライキを行います。政府の方針への抗議などで、仕事をボイコットするのです。
ストライキの日は、参加しない先生や臨時講師が子供たちの面倒を見てくれることが多いですが、参加する先生が多い場合は、学校から「可能な家庭は子供を家で見てください」といった連絡が来ます。ストライキは労働者の権利として認められているため、「仕方ないね」と受け入れるのがフランスの文化のようです。働く親にとっては予定が狂い大変ですが、これも文化と割り切るしかありません。
ポイント5:自立はいつ?「親の送迎必須」の現実
フランスでは、小学生であっても、基本的に親が学校まで送り迎えをするのが一般的です。日本のような集団登下校のシステムはありません。
子供の安全面を考えると安心ではありますが、毎日となると親の負担は少なくありません。また、「いつになったら一人で学校に行けるようになるのだろう?」と、子供の自立という面で少し心配になることもありました。治安の問題もあるのでしょうが、もう少し子供の自立を促す機会があっても良いのでは、と感じることもありました。
まとめ:違いを理解し、親子で楽しむフランス流子育て
フランスと日本の学校・子育て環境には、多くの違いがあります。
【フランスのメリット例】
- 親の学校行事への負担が少ない
- 子供の自由時間(昼休み)が多い
- 個性を尊重する校風(服装など自由)
- 働く親を支える預かり保育が充実
- いじめへの対応が厳しい
【フランスのデメリット・注意点例】
- 水曜休みや長期休暇が多く、預け先確保や費用が課題
- 先生や子供とのコミュニケーションに工夫が必要
- ストライキで休校や変則授業になることがある
- 親の送迎が必須
どちらが良い・悪いではなく、それぞれの社会背景に基づいた「違い」があるということです。海外で子育てをする上では、まずこの違いを理解し、受け入れることが大切です。
戸惑うことや大変なこともあると思いますが、事前に情報を集め、現地のサポート(先輩駐在員、日本人コミュニティ、学校、地域サービスなど)をうまく活用し、そして何より親子でその違いを楽しんでしまうくらいの気持ちで臨めば、きっと豊かな経験になるはずです。
これからフランスで子育てをされる方々にとって、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。Bon courage ! (頑張って!)
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