「海外赴任の内示が出た!でも、会社は一体自分に何を期待しているんだろう?」
「現地で何をすれば評価されるの?」「上司に聞いても、なんか曖昧な答えしか返ってこないんだけど…」
海外赴任という大きなチャンス。しかし、その一方で「現地で具体的に何をすべきなのか」「会社からの本当の期待は何か」が見えづらく、戸惑いや不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
こんにちは!海外赴任経験者のふーさんです。「海外赴任者に会社が求める役割は?」と聞かれれば、多くの人が「そんなの会社や役職によるよ!」と答えるでしょう。それは確かにその通りです。
工場長なら工場のマネジメント、営業責任者なら売上拡大、技術者なら現地生産のサポートや技術移転…役職によって具体的なミッションは異なります。
しかし、全ての駐在員に共通して、会社が根底で期待している「本質的な役割」があると私は考えています。そして、たとえ上司が明確な指示をくれなくても、自分でその役割を理解し、成果を出すための考え方があるのです。
この記事では、
- 海外赴任者に共通して期待される「本質的な役割」とは何か?
- 上司が明確な指示をくれない場合の「目的設定」のヒント(KPI思考)
- 現地で期待に応え、成果を出すための具体的な思考法と行動
- 忘れてはならない、駐在員個人の「究極の目的」
について、私の経験と考えを交えながら、本音で解説していきます。これから海外赴任を控えている方、現地で自分の役割に悩んでいる方のモヤモヤを解消し、主体的に活躍するためのヒントを提供できれば幸いです。
【本質】役職に関わらず、会社が駐在員に期待するたった一つのこと
技術者、営業、工場長、社長…どんな役職であっても、会社が海外赴任者に共通して期待していること。それは突き詰めれば、
「赴任元(本社・日本)の期待に応え、
会社の利益に貢献すること」
これに尽きると私は考えます。
もちろん、具体的な業務内容は異なります。私の場合は技術者だったので、
- 日本で設計された変更を、現地の製品にスムーズに反映させる
- 新しい生産ラインの立ち上げをサポートする
- 日本本社と現地工場の間の技術的な「橋渡し役」となる
といったことが主なミッションでした。これが工場長なら工場全体の損益管理、社長なら現地法人全体の経営戦略が中心になるでしょう。
しかし、どんな役割であれ、本社は何らかの意図(期待)を持ってあなたを現地に送り込んでいるという事実は共通しています。その「期待」が何なのかを正確に理解することが、海外赴任成功の第一歩です。
それは、
- 若手に経験を積ませ、将来の幹部候補として育成したいのかもしれない。
- 現地の閉塞感を打破し、新しい風を吹き込んでほしいのかもしれない。
- 特定のプロジェクトを成功させてほしいのかもしれない。
- 日本本社のガバナンスを強化したいのかもしれない。
など、様々です。赴任前に、必ずあなたを送り出す上司や人事担当者に、この「期待」を具体的に確認しましょう。「なんとなく」で赴任するのは危険です。
【困った】上司も分かってない?「期待」が不明確な時の対処法
「期待を確認しろと言われても、上司に聞いたら『いや、前任者の任期が来たから交代なだけだよ』って言われたんだけど…」
…はい、そういう残念なケース、ありますよね。(私もそうでした)
でも諦めてはいけません。たとえ直属の上司が明確な答えを持っていなくても、会社があなたに給料を払い、高いコストをかけて海外に送り出すのには、必ず「理由」があるはずです。
そんな時は、以下の視点で自分で「目的」を設定し、それを上司に提案・確認するというアプローチが有効です。
原点回帰:会社の存在意義と自分の役割を結びつける
まず、あなたの会社の「存在意義」は何でしょうか? 経営学者ドラッカーは「企業の目的は顧客の創造である」と言いました。つまり、顧客に価値を提供し、その対価として利益を得ることで、企業は存続・成長できます。
あなたの仕事は、この「顧客創造」「利益創出」に、どのように貢献できるでしょうか? 自分の業務を会社の大きな目的の中に位置づけ直すことで、やるべきことの輪郭が見えてくるはずです。
KPI思考:自分の業務が会社の「利益」にどう貢献するか考える
より具体的に考えるために役立つのが「KPI(重要業績評価指標)」の視点です。会社や部署が掲げるKPI(売上、利益率、コスト削減、生産性向上、顧客満足度など)の中で、自分の役割が特に貢献できるものは何かを考えます。
- 営業職なら: 新規顧客獲得数、売上高、利益率の向上など。
- 工場技術者なら: 生産コスト削減、不良率低減、生産リードタイム短縮、新技術導入など。
- 管理部門なら: 業務効率化によるコスト削減、現地スタッフの定着率向上、コンプライアンス遵守徹底など。
「ただ言われたことをやる」のではなく、「会社の利益(KPI達成)に貢献するために、自分はこの業務にプラスアルファで何ができるか?」という視点を持つことが、主体的な役割設定に繋がります。
どうすれば期待に応え、成果を出せるか?(KPI達成への道筋)
ミッション(あるいは達成すべきKPI)が見えたら、次はそれをどう実現していくかです。
ステップ1:自分の業務と「利益」の繋がりを徹底的に理解する
工場の技術者を例にとると、「利益を増やす」ためにはどうすれば良いか?
- 売上を上げる(生産量を増やす、新製品を立ち上げる)
- コストを下げる(材料費削減、人件費削減、不良率削減、エネルギー効率改善)
など、様々な要素が考えられます。自分の業務が、これらのどの部分にどう影響するのかを深く理解し、最もインパクトの大きい施策から優先的に取り組むことが重要です。
ステップ2:具体的な施策を複数立案し、「提案」する
課題と貢献ポイントが見えたら、それを改善するための具体的な施策(アクションプラン)を考えます。一つだけでなく、複数のアイデア(できれば3つ以上、理想は10個以上!)を準備しましょう。
例(工場技術者の場合):
- 「組み立て工程の一部を自動化し、人件費を〇%削減する」
- 「部品Aの形状をこのように変更し、不良率を〇%低減する」
- 「装置Bのトラブルシューティングマニュアルを作成・共有し、ダウンタイムを〇時間短縮する」
これらの施策案をまとめ、「なぜこれが必要か」「どんな効果が見込めるか」「どのように進めるか」などを明確にして、上司(日本・現地双方)に積極的に「提案」します。事前に相談・提案しておくことで、いざ実行する際に周囲からのサポートも得やすくなります。
ステップ3:現地メンバーを巻き込み、「チーム」で目標達成を目指す
どんなに良いアイデアも、駐在員一人だけでは実行できません。 現地スタッフの協力が不可欠です。
そのためには、
- 施策の目的やメリットを、現地メンバーにも分かりやすく説明し、共感を得ること(異文化コミュニケーション能力が問われます)。
- 彼らの意見にも耳を傾け、一緒に計画を練り上げること。
- 役割分担を明確にし、チームとして目標達成を目指す意識を醸成すること(チームビルディング)。
が重要になります。現地メンバーを単なる「作業者」ではなく、目標達成のための「パートナー」として尊重し、巻き込んでいく姿勢が求められます。
【最重要】忘れてはいけない!駐在員「個人」の究極の目的
会社からの期待に応え、ミッションを達成することは駐在員の重要な役割です。しかし、それだけが全てではありません。
あなた個人の最も重要な目的は、
心身ともに健康な状態で、無事に日本に帰ってくること。
慣れない環境での仕事や生活は、知らず知らずのうちに心身に大きな負担をかけます。一人で悩みやストレスを抱え込まず、
- 同僚や上司に相談する
- 家族や友人と連絡を取る
- 現地のコミュニティに参加する
- 趣味や休息の時間を大切にする
など、意識的にストレスを発散し、自分自身をケアすることを絶対に忘れないでください。
会社の目標達成も重要ですが、それ以上にあなた自身の健康と幸福が最優先であることを、決して忘れないでください。
まとめ:会社の期待を理解し、主体的に価値を創造しよう!
海外赴任者に会社が期待する役割は、突き詰めれば「会社の利益への貢献」です。しかし、その具体的な内容は役職や状況によって異なります。
- まずは会社からの「期待」を正確に理解する(分からなければ自分で設定し提案する)。
- 会社の目標(KPI)と自分の役割を結びつけ、主体的にミッションを設定する。
- ミッション達成のために、具体的な改善施策を立案・提案し、現地チームを巻き込んで実行する。
- そして何より、自分自身の心身の健康を最優先することを忘れない。
「ただ言われたから行く」のではなく、主体的に自分の役割を定義し、価値を創造していく姿勢を持つこと。それが、海外赴任を単なる「業務命令」から、自己成長とキャリアアップに繋がる「絶好の機会」へと変える鍵です。
あなたの海外赴任が、実り多く、素晴らしい経験となることを心から願っています!
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