【海外子育て】「子供はすぐ慣れる」は嘘?4歳息子の現地語に苦戦した仏駐在パパのリアル体験談現地校の面談でわかった1年過ごした子供の言語力


「子供は順応性が高いから、海外に行っても言葉なんてすぐ覚えるよ!」

海外赴任や移住を経験した先輩から、よくこんな風に言われませんか? 私もフランス赴任前、多くの人からそう言われました。しかし、3歳の息子を現地の幼稚園に入れて1年…4歳になった彼の様子を見ていると、「そんな簡単な話じゃない!」というのが正直な実感です。

こんにちは!フランスでの駐在&子育て経験がある、ふーさんです。確かに、子供の適応能力は素晴らしいものがあります。息子も、先生の指示を理解したり、物の名前をフランス語で覚えたりと、着実に成長しています。

でも、自分の気持ちを表現したり、友達とスムーズにコミュニケーションを取ったりすることに関しては、まだまだ大きな壁があるのです。

この記事では、

  • 「子供はすぐ慣れる」神話の裏にある、幼児の第二言語習得のリアルな課題
  • 我が家の4歳息子の具体的な状況(できること、できないこと)
  • 学校だけでは不十分?家庭でのサポートがなぜ重要なのか
  • 私たちが試した(そしてもっとやるべきだったと感じる)具体的なサポート方法
  • 現地語だけじゃない!日本語維持の大切さ

について、私の体験談を交えながら、包み隠さずお伝えしたいと思います。特に非英語圏で未就学児~低学年のお子さんを育てている(または予定の)方にとって、リアルな情報として参考にしていただければ幸いです。

指示は分かる、でも…4歳息子のフランス語のリアルな壁

フランスの現地幼稚園(キリスト教系私立)に通い始めて1年。4歳になった息子のフランス語力は、確かに伸びています。

【できるようになったこと】

  • 先生の簡単な指示(「座って」「手を洗って」など)は理解できる。
  • 色の名前、動物の名前、食べ物の名前などをフランス語で言える。
  • 簡単な歌をフランス語で歌える。

しかし、先日行われた先生との面談で、衝撃的な(でも、薄々気づいていた)事実を告げられました。

「〇〇くん(息子)、指示はよく理解しているんですが、自分の気持ちを言葉で伝えられないみたいで…。欲しいおもちゃを取られたり、嫌なことをされた時に、言葉で『やめて』とか『悲しい』とか言えなくて、手が出ちゃったり、泣き出すことが多くて、それが原因で友達とよく喧嘩になっているんです。フランス語がまだ十分じゃないから仕方ない部分もあるけれど…」

そうなんです。彼は、嬉しい、楽しい、悲しい、痛い、嫌だ、お腹すいた、喉が渇いた…といった、自分の内面にある感情や要求を、フランス語で表現する術をほとんど持っていなかったのです。親が普段あまり使わない言葉は、園生活だけではなかなか身につかない、という現実がありました。

「仕方ない」と先生は言ってくれましたが、子供本人にとっては、伝えたいことが伝わらないのは、非常につらい状況のはずです。

「子供はすぐ慣れる」は本当?幼児の第二言語習得、甘くない現実

この経験を通して、「子供は(言葉なんて)すぐ覚えるから大丈夫!」という言葉がいかに楽観的すぎるかを痛感しました。

確かに、子供の脳は柔軟で、音を聞き取る能力も高いです。しかし、それは適切な環境と十分なインプット、そしてアウトプットの機会があってこそ。

  • 幼児の言語発達段階: 特に幼児期は、母語(日本語)の基礎を固めている非常に重要な時期です。そこに第二言語(フランス語)が入ってくることは、単純に考えて学習負荷が2倍以上になるようなもの。
  • 学校教育の限界: 学校の授業は、多くの子を対象とした集団教育です。一人ひとりの言語レベルや理解度、性格に合わせた、きめ細やかなサポートを常に期待するのは難しいかもしれません。1年程度の学校生活だけで、ネイティブレベルのコミュニケーション能力を身につけるのは、多くの場合困難です。(実際、フランスでも言語の遅れを理由に学年を下げて入学する子もいます)

「大丈夫じゃない」ケースもたくさんある、ということを、親は覚悟しておく必要があると感じました。

なぜ家庭でのサポートが不可欠なのか?

上記の理由から、学校だけに任せていては、子供の現地語習得、特に「使える」コミュニケーション能力の獲得には限界がある可能性があります。

だからこそ、家庭での積極的なサポートが不可欠になるのです。学校でインプットしたことを定着させ、さらに語彙や表現を豊かにし、実際に「使う」練習をする。その環境を家庭で作ってあげることが、子供の言語習得を大きく後押しします。

【家庭でできる】子供の現地語コミュニケーション能力を伸ばすサポート法

では、具体的に家庭でどんなサポートができるのでしょうか? 我が家が試したこと、そして「もっとこうすれば良かった」と思うことをご紹介します。

感情表現の練習を意識的に

息子に足りなかった「気持ちを伝える言葉」。これを家庭で意識的に教え、使う練習をしました。

  • 絵本などを読みながら登場人物の気持ちを代弁する練習。(「〇〇ちゃん、今どんな気持ちかな?」「悲しいね – Triste」)
  • 日常生活の中で、親が自分の気持ちを簡単な現地語で表現する。(「ママ嬉しい! – Contente!」)
  • 子供が何かを感じている時に、その気持ちを言葉にする手助けをする。(泣いていたら「悲しいの? – Tu es triste?」)

遊びの中に言葉を取り入れる(知育玩具・絵本)

文字や単語を「勉強」として教えるのではなく、遊びを通して自然に触れる機会を増やしました。

  • 現地の知育玩具(文字パズル、絵カードなど)
  • 現地語の絵本(図書館を活用!)
  • 簡単なボードゲーム

子供が興味を持つものを選ぶのがポイントです。

「耳から」インプット!歌やアニメの活用

子供向けの歌やアニメは、自然な発音やリズム、日常的なフレーズをインプットするのに最適です。

  • 現地の子供向け音楽チャンネルやCD
  • 現地語のアニメ(YouTube Kidsなども活用)

ただし、スクリーンタイムの管理は必須です。一緒に歌ったり、内容について話したりするとより効果的です。

【効果大!】家庭教師(特に日本語が話せる先生)の活用

これは我が家にとって最も効果的だった方法の一つです。特に、日本語も理解できる先生にお願いできたのが大きかったです。

  • 子供が分からないことを日本語で質問できるため、ストレスなく学習を進められる。
  • 親も先生と日本語でコミュニケーションが取れ、子供の状況や学習方針について相談しやすい。
  • 1対1なので、子供の苦手な部分(特に会話や感情表現)に合わせた指導をしてもらえる。

オンラインなどを活用すれば、日本語対応可能な先生を見つけやすくなっています。

アウトプットの機会作り(現地コミュニティ参加など)

インプットだけでなく、実際に現地語を使う経験が重要です。

  • 公園や地域のイベントに積極的に参加し、現地の子と関わる機会を作る。
  • 習い事を始めてみる。(言葉が不安でも、スポーツや音楽なら楽しめることも)
  • 親自身も現地の人と交流する姿勢を見せる。

忘れないで!「日本語」という心の土台とアイデンティティ

現地語の習得に力を入れる一方で、母語である日本語の維持・伸長も非常に重要だと感じています。

日本語は、子供の思考力や情緒の基盤であり、家族とのコミュニケーション、そして「日本人」としてのアイデンティティを形成する上で欠かせません。現地語ばかりに偏ると、日本語能力が停滞したり、家族とのコミュニケーションに齟齬が生じたりする可能性もあります。

我が家では、家庭での会話は日本語を基本とし、日本語の絵本の読み聞かせ、そして前述のスマイルゼミなどを活用して、日本語学習の機会を確保するように努めました。スマイルゼミは、日本の学習カリキュラムに沿っているだけでなく、日本の文化や行事に触れられる点も良かったです。

まとめ:焦らず、比べず、親子で歩む言語習得の道

「子供はすぐ慣れる」という言葉を鵜呑みにせず、特に幼児期の第二言語習得には時間がかかり、家庭でのきめ細やかなサポートが不可欠であることを、まずは親が理解することが大切です。

  • 「指示理解」と「感情・意思表現」の間にはギャップがあることを認識する。
  • 学校だけに任せず、家庭で意識的に現地語に触れ、「使う」機会を作る
  • 親子学習、遊び、メディア、家庭教師などを組み合わせるのが効果的。
  • 日本語という土台の維持も忘れずに。
  • 何よりも、焦らず、他の子と比べず、子供のペースを尊重し、親子で楽しむこと!

言葉の壁は、親子にとって大きな挑戦ですが、それを乗り越えるプロセスは、必ずや親子の成長と強い絆に繋がるはずです。

この記事が、海外で奮闘するあなたの、そしてお子さんのサポートとなれば幸いです。

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