「海外赴任が決まった!家族で新しい生活、楽しみ!」
そんな期待に胸を膨らませている方も多いでしょう。しかし、その一方で、「仕事は激務になるって本当?」「子育ては大丈夫?」「家族関係は変わってしまう?」といった不安もよぎるのではないでしょうか。
こんにちは!3人の子供を連れてフランスへの赴任を経験した、ふーさんです。
私の実体験から正直にお伝えすると、
海外赴任は、時に想像以上に過酷で、特にワークライフバランスが崩れやすい
という側面があります。
この記事では、私の経験に基づき、
- なぜ海外赴任でワークライフバランスが崩れやすいのか?(具体的な理由)
- その結果、家族(特に帯同する配偶者)にどんな問題が起きやすいのか?
- その困難を家族で乗り越えるための具体的な対策と心構え
について、包み隠さずお伝えします。これから海外赴任や家族帯同を控えている方、今まさに悩んでいる方の参考になれば幸いです。
「キラキラ」だけじゃない?海外赴任のリアルな現実
海外赴任と聞くと、キャリアアップ、高待遇、異文化体験…といった華やかなイメージが先行しがちです。もちろん、それらは事実であり、素晴らしい経験が得られることは間違いありません。しかし、その裏側には、日本での働き方とは全く異なる厳しい現実が待っていることも少なくないのです。
なぜ激務に?海外赴任でワークライフバランスが崩れる2つの構造
日本で定時退社が当たり前だった人でも、海外赴任を機に長時間労働に陥ってしまうケースは珍しくありません。その背景には、主に2つの構造的な理由があります。
理由1:名ばかり管理職?「裁量労働制」の罠
多くの企業で、海外赴任者は役職に関わらず「管理職扱い」となり、労働時間管理の対象外、つまり「裁量労働制」が適用されます。
「自分の裁量で働ける」と言えば聞こえは良いですが、現実は逆。海外での業務は多岐にわたり、日本本社との連携、現地スタッフの管理、予期せぬトラブル対応など、「完璧にこなそうとすれば際限なく仕事がある」状態になりがちです。
日本の平社員であれば、残業時間には上限があり、労働組合の保護もあります。しかし、裁量労働制の名の下では、夜中までの残業や休日出勤が常態化しても、法的には問題視されにくいという側面があるのです。結果、自分の意思とは関係なく、長時間労働を強いられる状況が生まれやすくなります。
理由2:「あなたしかいない」日本からの無限タスク
海外拠点には、同じ業務を担当する日本人駐在員が自分一人だけ、というケースも少なくありません。そうなると、日本本社からのあらゆる依頼や問い合わせが、時差に関係なく自分に集中します。
私も経験しましたが、「今日中に対応してほしい」という依頼が日本の夕方(現地では深夜)に来て、夜中の12時からテレビ会議、確認が終わってようやく寝られる…なんてことが実際に起こるのです。代わりがいないため、断ることもできず、「自分がやるしかない」状況に追い込まれます。
どんなに手当が多くても、時給換算したら愕然とする…そんな笑えない状況も、決して他人事ではありません。
夫は不在がち…帯同家族(特に妻)にのしかかる負担
このような夫(赴任者)の状況は、当然ながら帯同する家族、特に育児や家事を主に担うことの多い妻(配偶者)に大きな影響を与えます。
リアルなワンオペ育児環境(フランスの例)
海外の育児環境は国によって様々です。フランスの場合、学校に有料の延長保育があり、非常に助かりました。しかし、それはあくまで「平日日中」の話。
もし妻が体調を崩したら? 夫は深夜まで仕事で不在、頼れる親族も近くにいない…。そうなると、延長保育の送迎すら困難になります。もちろん、同じ境遇の駐在員家族に助けを求めることもできますが、距離が遠かったり、相手にも負担をかけてしまったりと、毎回頼れるわけではありません。
現地のベビーシッターや送迎代行サービスもありますが、信頼できる人をどう探すか、言葉の壁、契約方法など、利用するまでのハードルは日本より高いと感じました。結局、「夫はいないもの」として、妻が一人で何とかするしかない、という状況に陥りがちです。
頼りたくても頼れない?精神的な孤立
物理的なワンオペ状態に加え、精神的な孤立感も深刻な問題です。慣れない土地での子育て、言葉の壁、文化の違い…不安やストレスを抱えていても、一番頼りたい夫は仕事で疲弊し、話を聞いてもらう余裕すらないかもしれません。「夫も大変なんだから」と、妻が一人で抱え込んでしまうケースも多いのです。
崩壊を防ぐために!家族で乗り越えるための対策と心構え
では、どうすればこの困難な状況を乗り越えられるのでしょうか? 完璧な解決策はありませんが、私たちが実践したことや、今振り返って「こうすれば良かった」と思う対策と心構えをお伝えします。
【赴任前】夫婦で現実を共有し、役割分担を話し合う
これが最も重要かもしれません。赴任前に、夫の仕事が激務になる可能性、妻がワンオペ育児になる可能性といった「現実」を夫婦でしっかり共有しましょう。「なんとかなる」ではなく、「こうなるかもしれない」という前提で、家事・育児の分担、お互いの期待値、緊急時の対応などを具体的に話し合っておくことが、後のすれ違いを防ぎます。
【現地で】頼れる人・サービスを早期に確保する
「困ってから探す」では遅すぎます。現地に着いたら、できるだけ早い段階で、頼れる人やサービス(信頼できるベビーシッター、日本人コミュニティ、地域のサポートセンター、同じ学校の保護者など)の情報を集め、繋がっておきましょう。いざという時の「保険」があるだけで、精神的な負担は大きく軽減されます。
「完璧」を捨てる勇気とSOSを出す大切さ
日本での生活と同じレベルを維持しようとすると、必ず無理が生じます。家事も育児も、「完璧じゃなくていい」「手を抜けるところは抜く」という意識が大切です。そして、「もう無理!」と感じたら、プライドを捨てて周囲にSOSを出す勇気を持ちましょう。助けを求めることは、決して悪いことではありません。
帯同者自身の世界を持つことの重要性
子育てに専念することも尊いですが、それだけだと息が詰まってしまうことも。子供が学校に行っている時間などを利用して、帯同者自身が楽しめること、自分の世界を持つことも非常に重要です。
語学学校に通う、趣味のサークルに参加する、現地のコミュニティに関わる、ボランティアをする…何でも構いません。外との繋がりを持つことで、気分転換になり、新しい情報や友人を得られ、結果的に家庭にも良い影響をもたらします。せっかくの海外生活、受け身にならず、ぜひ挑戦してみてください。
まとめ:覚悟は必要、でも一人で抱え込まないで
海外赴任、特に家族帯同は、大きな変化と挑戦の連続です。赴任者本人のワークライフバランスが崩れやすく、その影響が家族に及ぶ可能性があることは、残念ながら事実です。
- 赴任者の長時間労働は起こりうる(裁量労働制、代わりの不在)。
- 帯同配偶者はワンオペ育児や孤立に陥りやすい。
- 赴任前に夫婦で現実を直視し、対策を話し合うことが不可欠。
- 現地では早期に頼れる人・サービスを見つけ、SOSを出す勇気を持つ。
- 帯同者自身も自分の世界を持ち、楽しむことを忘れない。
ある程度の「覚悟」は必要かもしれません。しかし、決して一人(一家族)だけで全てを抱え込む必要はありません。 事前の準備と、現地での柔軟な対応、そして何より夫婦間のコミュニケーションを大切にすることで、困難を乗り越え、家族にとって実り多い海外生活を送ることができると信じています。
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