はじめに：かなえ先生の洞察と子育てにおける最も大切なこと

元動画は最後に貼っておきました。

人気Vtuberであるかなえ先生が（正確にはかなえ先生の親御さんが）語った「親の機嫌が良いこと」が子育てにおいて最も重要であるという言葉は、多くの親にとってハッとさせられるものではないでしょうか。

一般的に、子育てで大切なものとして「お金」「教育」「環境」などが挙げられますが、この言葉には、それらすべての土台となる、より根源的な要素が示唆されています。

本稿では、このシンプルながらも深い言葉を軸に、親の不仲、特に夫婦間の争いが子どもに与える計り知れない影響について、自閉症スペクトラム障害の子供を持つ親の視点から詳しく解説していきます。

穏やかで安定した家庭環境がいかに子どもの健全な成長に不可欠であるかを理解し、今日からできる具体的な対策を共に考えていきましょう。

否定できない影響：親の不仲が幼い心に刻む傷跡

家庭内での親の不仲、特に激しい夫婦喧嘩は、子どもの心に深刻な影響を与えることが多くの研究で明らかになっています。

日常的に親の争いを目撃する子どもたちは、情緒不安定、不安、抑うつといった精神的な問題を抱えやすく、その影響は成長後まで続くことも少なくありません。

情緒不安定とメンタルヘルスの課題

頻繁で激しい親の対立は、子どもたちの心の安定を根底から揺るがします。

子どもは、親の感情を敏感に察知し、家庭内の安全を常に確認しようとします。

親の不仲は、子どもにとって最も頼りになる存在である親が、自分を守ってくれるかどうかという根源的な不安を引き起こし、安心感を奪います。

この状態が続くと、子どもは慢性的なストレスを感じ、不安や抑うつといった心の病気を発症するリスクが高まります。

家庭内の不和は、子どもが自分自身を責めてしまう原因にもなり得ます。幼い子どもは、大人の複雑な問題を理解することが難しく、親の喧嘩を自分のせいだと誤解し、罪悪感や自己否定感を抱えてしまうことがあります。

行動上の問題と社会性の発達の遅れ

親の不仲は、子どもの行動面にも悪影響を及ぼします。

攻撃的な行動、反抗的な態度、学校での不適応など、さまざまな問題行動が現れることがあります。

また、家庭内で親が否定的なコミュニケーションを繰り返している場合、子どもはそれを模倣し、友人関係や将来の人間関係においても同様の問題を引き起こす可能性があります。

親の争いが絶えない家庭で育った子どもは、他者との円滑なコミュニケーションや問題解決能力を身につける機会が少なく、社会性の発達が遅れる傾向にあります。

脳の発達への深刻な影響

近年、親の不仲が子どもの脳の発達にまで影響を及ぼすことが科学的に示唆されています。

特に、幼少期における慢性的なストレスは、記憶や感情を司る海馬の発達を阻害したり、左右の脳の連携を悪くしたりする可能性があります。

また、長期的な虐待やネグレクトは、意思決定や感情コントロールに関わる前頭前野の発達を遅らせることも指摘されています。

幼い子ども、特に乳幼児は、親の感情的な状態に非常に敏感であり、親の怒りや不安を感じると、心拍数の上昇やストレスホルモンの分泌といった生理的な反応を示すことが研究でわかっています。

このような早期のストレス経験は、子どもの脳の発達に長期的な影響を与える可能性があるのです。

ストレスによる身体的な症状

親の不仲によって子どもが受けるストレスは、頭痛、腹痛、睡眠障害、食欲不振など、さまざまな身体的な症状として現れることがあります。

慢性的なストレスは、免疫力を低下させ、感染症にかかりやすくなるなど、子どもの健康全般に悪影響を及ぼすこともあります。

また、親の不仲が原因で、摂食障害を引き起こす可能性も指摘されています。

実際に、私が強く叱ってしまった際、子供が「おなかが痛い」と言い出したことがあります。このように、怒られるということが身体にまで影響を及ぼしてしまっているのです。本当に後悔しています。

発達障害を持つお子さんへの特別な配慮

もしあなたのお子さんが自閉症スペクトラム障害（ASD）を持っている場合、親の不仲が与える影響はさらに深刻になる可能性があります。

ASDを持つお子さんは、感覚過敏を持つことが多く、大きな声や激しい感情のやり取りに強い苦痛を感じることがあります。

また、コミュニケーションの特性から、親の争いの原因や状況を理解することが難しい場合があり、それがさらなる不安や混乱につながることがあります。普段は言葉で理解することが難しいお子さんに対して、つい声を荒げてしまう気持ちも理解できますが、ASDを持つお子さんにとって、予測不能な感情の爆発は非常に大きなストレスとなります。

両親そろっている場合は、どちらかが爆発してしまったときはもう片方が子供をケアしてあげられると理想的です。

親としてできること：穏やかな家庭を築くためのヒント

親の不仲が子どもに与える悪影響を理解した上で、私たち親はどのように行動すれば良いのでしょうか。今日からできる具体的な対策をいくつかご紹介します。

まずは親自身の心の安定を

子どもにとって何よりも大切なのは、親が心身ともに健康で安定していることです。親が自分の感情をコントロールし、ストレスを適切に管理することで、家庭全体の雰囲気が穏やかになり、子どもは安心して過ごすことができます。

そのためには、親自身が休息を取り、趣味の時間を持つなど、自分を大切にする時間を持つことが重要です。

もし、精神的な負担が大きいと感じる場合は、専門家のサポートを求めることも検討しましょう。

パートナーとの建設的なコミュニケーション

夫婦関係は、家庭の土台です。

お互いを尊重し、感謝の気持ちを伝え合うなど、日頃から良好な関係を築くことが大切です。

意見の不一致や対立が生じた場合でも、子どもの前で感情的に言い争うのではなく、冷静に話し合い、解決策を見つける姿勢を見せることが重要です。

建設的な対立解決の方法を子どもに示すことは、子どもが将来、人間関係を築く上で非常に重要な学びとなります。

子どもを対立に巻き込まない

夫婦間の問題は、決して子どもに話したり、どちらかの味方につかせようとしたりしてはいけません。

子どもは、親の対立の仲介者になることを望んでいませんし、そのような役割を担うべきではありません。

親の対立に巻き込まれることは、子どもにとって大きな精神的負担となり、親への不信感につながる可能性もあります。

言葉と態度で愛情を伝える

子どもには、言葉や態度でしっかりと愛情を伝えることが大切です。

「大好きだよ」「あなたは大切な存在だよ」といった肯定的な言葉をかけたり、抱きしめたり、一緒に遊んだりする時間を持つことで、子どもは安心感と自己肯定感を育むことができます。

日々の愛情表現は、たとえ親の間で意見の対立があったとしても、子どもが家族の絆を信じ、情緒的な安定を保つための重要な基盤となります。

我が家では、どんなに叱っても寝る前に抱きしめて大好きだよという時間を確保しています。

効果はわかりませんが、少しでも愛情を伝えるためにできることをしていきましょう。

発達障害を持つお子さんへの工夫

ASDを持つお子さんに対しては、より具体的で視覚的なコミュニケーションを心がけましょう。

対立が起こりそうになった時や対立後には、感情を示す絵カードやスケールなどを使って、お子さんの気持ちを理解し、伝える手助けをすることが有効です。

また、対立で感情的な過負荷を起こしやすいお子さんのために、落ち着ける安全な空間を用意することも大切です。

我が家では、感情が爆発してしまったらいったん落ち着くまで離れる、ということを家の中でやっています。

また、普段から、短い文章で具体的な指示を与えること、視覚的なサポートを活用することなども、対立を未然に防ぐために役立ちます。

経験を共有し、共に成長する

もしあなたが、私と同じように発達障害を持つお子さんを育てていて、つい感情的に対立を起こしてしまうことに悩んでいるなら、決して一人ではありません。私たち親も人間であり、完璧ではありません。
親同士のコミュニティ、行政のサポート窓口で、まずは相談してみましょう。
きっとあなたの助けになってくれます。

元動画（公認切り抜き）